番組審議会
第543回 番組審議会議事録 概要
1.開催日時
2025年1月8日(水) 12時より
2.開催場所
The Okura Tokyo
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 岡室美奈子
- 委員
- :
- 井上由美子、小山薫堂、最相葉月、齋藤孝、舞の海秀平、三浦瑠麗
- 局側
- :
- 嘉納会長、遠藤副会長、港社長、小林専務取締役、立松執行役員編成局長、大野執行役員情報制作局長、渡邉報道局長、坪田コンプライアンス推進室長
事務局/番組審議室(毎年、新年は局長級以上が出席)
4.議事
(1)報告事項
港社長から、昨年12月27日、ホームページにて「一部週刊誌等における弊社社員に関する報道について」を発表したことを報告した。
委員からは、ステークホルダーとの関係性の見直し、防衛策、調査方法、当初の判断、女性の保護、に関する意見があった。
また、社員からの相談窓口に関する意見と質問があり、局から、コンプライアンス相談窓口について説明した。
(2)テーマ審議
審議テーマ:『いま、視聴者はテレビに何を求めているのか?』
各委員からは、審議テーマに関して以下のような意見が出された
- SNSや動画に負けないくらい、もっと掘り下げたマニアックな楽しい番組ができたら、視聴者の中に「さすがテレビはすごいな」という気持ちも芽生えて、テレビを見る人がまた増えていくかも知れない。
- テレビは「人間味」という言葉を忘れてはいけない。
- テレビには真実を報道するという「信頼性」が求められているが、「信頼性」は誰が誰の立場でそれを見るかによって、正義にも、その反対にもなる。「信頼性」という点でも難しい時代に来ている。
- 「人間って良いな」と視聴者に思ってもらえるようなコンテンツを流し続けるのがテレビ。
- 今、視聴者がテレビに求めているのは「嘘(フィクション)と真(まこと/信頼できる情報)の本質的な強化」なのではないか。
- フェイクニュースが氾濫する中、視聴者には、新聞とテレビだけは裏付けのある情報を報道しているという前提が少しはある。その信頼を守り続けることが大切。
- アニメやドラマは人を夢中にさせて、ある一定の時間、熱中や集中を与えることで人の疲れた心を癒す力がある。最近大きな話題になる映像作品は配信系に譲っているが、工夫を重ねて無料の地上波で良質で話題になる作品を放送する事に注力してほしい。
- 題材に多様性と深さを持たせ、クオリティーの高い作品を目指すのは言うまでもなく、放送枠や期間に流動性を持たせたり、視聴者が交流する場を作るなど、新たな視聴スタイルに
チャレンジして盛り上げる試みも必要では。
- 日本のテレビでは、ニュースネタが情報番組に侵入してきているが、軽い話題と事件報道や評論を共存させることに無理があるのでは。ニュースとその他を切り分けてみては。
- 報道に携わる者は、当然一番先に事実を手にしたいだろうが、集めてきたファクトをどのように活用するか、その感覚の適切さが問われている。
- 何が時流かに忖度(そんたく)するのではなく、「こんな流行を作りたい」くらいに我が道を行った方が、芯が一本通っていてよいのでは。
- テレビは受動的に見ることが多く、漢字は長らく「見る」が使われてきたが、最近は動画全般に対する視聴形態から、主体的に鑑賞する「観る」に変わってきていると感じている。
- フジテレビに一番大切なのは信頼。今のテレビは本当に信頼を失いつつあるかもしれない。これを取り戻すには、やはり信頼される番組作りをするしかない。自分の家族、特に子供
たちに見せたいと思うかを基準にしてほしい。
- 視聴者はテレビに公の場を求めているのではないか。SNSで個人が無限に発信できるようになり、「公の場」がはっきりしなくなっている中で、暗黙のうちにテレビに「公の場」である
ことを期待している。テレビは「公の場」であることを自ら引き受け、公共性感覚の担い手であるという誇りを持って制作してほしい。
- 雑談が人間関係の基本。インターネットでそれぞれが好きなコンテンツを見ているだけでは共通の話題にはならないが、テレビという多くの人が見ているものは雑談の話題になる。人と人をつなげている話題の提供は社会的な貢献とも言えるのではないか。
- 2024年は「ドラマにおいての世代間の分断」が決定的に顕在化してしまった。それは「テレビにおける正しさとは何か」という問題に直結している。
- ドラマの意図以前に、あるシーンだけが切り取られて正しいか正しくないかが判断されてしまう傾向はあるが、「コンプライアンスを踏み外さないで、いかに面白いものを作るか」が
問われる時代であるということを理解しないといけない。
- SNSの持っているすごいところは、個々の人たちが発信者になれるというところ。「民主主義をツールとして持っている」という点で、彼らには非常に強みがある。その代わり、大量の虚偽情報が拡散される危うさも否定できない。テレビには発信の民主性という機能はないが、誤った世論が形成されないよう、情報の正確性について世の信頼を獲得しなければなら
ない。
5.連絡事項
- 次回、第544回は2025年2月12日(水)の予定
以上